第48回論文賞[解説部門] 推薦候補論文リスト
(*:昨年度推薦)

No推薦件数題目著者巻-号-頁
(参考文献数)
推薦理由
R-1*1
1
フェムト秒レーザープロセシング の最近の進展杉岡 幸次
(理化学研究所)
50-3-117
(35)
本論文は,表面ナノ構造化,3次元加工,ビーム整形加工と,フェムト秒レーザープロセシングに関 する注目技術を筆者らの最新成果を中心に俯瞰的に紹介されており,近年,産官学で盛んに研究 開発されているフェムト秒レーザープロセシングの動向について大変分かりやすく,非常によくまと められた解説論文となっているため.

フェムト秒パルスレーザーを用いた三次元加工技術について内容が大変充実しており,本分野を よく俯瞰した分かりやすい解説記事となっている.
R-2*2バックワード・テラヘルツ波パラ メトリック発振の研究と非破壊検 査応用南出 泰亜,
縄田 耕二,
瀧田 佑馬,
野竹 孝志
(理化学研究所)
50-4-172
(15)
バックワード・テラヘルツ波パラメトリック発振は共振器が不要のため,安定な波長可変光源である が,現実的ではないとする理論予測によって諦められていた.著者らはブリルアン散乱の抑制や斜 周期分極反転の導入などにより,予測を覆して室温でピークパワーが200Wに及ぶ高出力を実現し た(他の光源はmW).この解説では,光源の特性やイメージング応用が平易に解説されており,屋 外を含むテラヘルツ応用が期待できる.
     パラメトリックプロセスを用いたテラヘルツ光源に関して、アイドラー光を注入することで極めて安定 なバックワードテラヘルツ波発生を実現している。また、非破壊検査について多数の実施例を示す ことで、この光源の有効性を実証している。光源の原理については一般読者にも分かり易く説明さ れており、利用を目指す人にとって具体的イメージがつかみやすい解説論文となっている。
R-3*1光電融合情報処理基盤に向け た線形光学に基づく超低遅延 演算北 翔太
野崎 謙悟
高田 健太
コン グアン ウェイ
前神 有里子
大野 守史
山本 宗継
新家 昭彦,
山田 浩治
納富 雅也
(NTT,産業総合研究所)
50-5-254(19)NTTが進めているIWONの光源融合技術のコアとなる技術であり,世界的にも非常にインパクトの高 い成果である,線形光学による演算について解説している.
R-4*1ニュークリアフォトニクスで拓く 「シングルショット」中性子分析余語 覚文
(大阪大学)
50-7-365
(11)
小型中性子源の実現を可能とするレーザー駆動中性子源の利用研究について著者自身の成果 を中心に解説されている。著者はレーザー駆動中性子源の様々な利用技術を世界に先駆けて実 証しており、研究成果自体は学術的に優れている。中性子エネルギーの違いによる利用技術の違 いを体系的に紹介しており、専門外の読者にもわかりやすくまとめられており、解説としても優れて おり論文賞に相応しい。
R-5*1自然光デジタルホログラフィの 現在と将来展望田原 樹
(情報通信研究機構)
50-11-606
(35)
小型可能で様々な応用が期待できる非干渉光を用いたデジタルフォログラフィの研究をまとめてお り、述べられているように将来的に産業応用や学際的展開が強く期待できる分野であり、解説論文 として論文賞に推薦する。
R-61J-KAREN-P ペタワットレーザー システムとその利用研究のリ モート化と自動化への取り組み桐山 博光,
眞柴 雄司
宮坂 泰弘,
中新 信彦
近藤 康太郎
今 亮,
福田 祐仁,
西内 満美子
(量子科学技術研究開発機構 関西光科学研究所)
50-12-678
(22)
世界有数の高出力レーザーであるJ-KAREN-Pについて、その利用環境で必要となるリモート化と 自動化技術について、それにつながる要素技術の蓄積と、令和3年から5年計画でスタートした先 端研究基板教養促進事業による最先端の研究開発の進捗について、専門外の読者にもわかりや すく平易な説明で季節している。
R-71Cyber-Physical System(CPS) 型レーザー加工によるスマート 製造小林 洋平,
場本 圭一
島原 光平
遠藤 翼
田丸 博晴
坂上 和之,
櫻井 治之
谷 峻太郎
(東京大学)
50-12-683
(14)
大量かつ良質なデータベースを構築し、それを活用することで、複雑さを増している加工対象に対 するレーザ加工の生産性向上の鍵となりうると期待できる。またシステムを構成する個々の要素の 学術的価値も高い。
R-81ナノ・マイクロ構造による熱輻射 制御の原理髙原 淳一
(大阪大学)
51-2-68
(66)
人工的な構造を用いた熱輻射制御の原理と応用について,限られた紙数の中で,基本的な物理, 関連する諸現象(表面プラズモン,メタ表面,完全吸収,表面状態など)との関係,さらに様々な実 例などを包括的・俯瞰的に,かつ大変分かりやすく解説しており,この分野に詳しくない読者も全 体像と個別事項がバランスよく理解できる.参考文献も66件あり,読者がより深く調べる上でも有用 な,大変優れた解説記事である.
R-91極限レーザー核科学研究所 (ルーマニア)の現状田中 和夫1,2,
Sydney GALES1,
Calin A. UR1,
Constantin IVAN1,
IoanDANCUS1,
CatalinMATEI1Domenico DORIA1,
Dimiter L.BALABANSKI1,
OvidiuTESILEANU1,
Theodor ASAVEI1,
SeptimiuBALASCUTA1,
Andrei BERCEANU1,
MihailCERNAIANU1,
CatalinCHIOCHIU1, 
Mihai CUCIUC1,
BogdanDIACONESCU1,
PetruGHENUCHE1,
Dan GHITA1,
Marius GUGIU1,
AlexandruMAGUREANU1,
Iani MITU1,
中宮 義英1,
Viorel NASTASA1,
Liviu NEAGU1,
Florin NEGOITA1,
Jian F. ON1Vanessa R. M. RODRIGUES1,
Madalin ROSU1,
Nicoleta SAFCA1,
Deepak SANGWAN1,
瀬戸 慧大 1,3,
Klaus M. SPOHR1,
Dan STUTMAN1,
Maria TALPOSI1,
Catalin TICOS1,
Paolo TOMASSINI1,
Lucian TUDOR1,
Daniel URSESCU1,
本間 謙輔 4
(1 極限レーザー核 科学研究所,
2 大阪大学レーザー科学研究 所,
3 日本原子力研究開発機構,
4 広島大学 大学院 先進理工系科学研究科)
51-5-299
(26)
51.5巻の特集「超高強度場の科学」が広がりを見せている大きな要因となった、新しく設立された 欧州極限光基盤核物理研究所のミッションや現状、予備実験などを包括的に紹介しており、本研 究分野を新しく志す研究者にとっては道標となりうる解説論文であり、論文賞として推薦する。
R-103電磁気における特殊相対性理 論の直接検証太田 雅人 1,
菅 晃一 2,
松井 龍之介 3,
中 嶋 誠 1
(1 大阪大学レーザー科学研究所,
2 大阪大学産業科学研究所,
3 三重大学大学院 工学研究科)
51-8-501
(22)
筆者らは、電気光学検出による電場の超高速計測をおこない、等速直線運動を行う電子ビーム周 りに生成されるクーロン電場の時空間分布の計測に成功した。特殊相対性理論が予言する、相対 論的クーロン電場の平面状収縮の可視化や相対論的電場収縮の形成過程の観測に成功した。本 解説論文は、普遍性の高い上記内容を分かりやすく解説しており、研究への良い導入記事であ る。そのため、論文賞[解説]に十分値すると考える。
     電磁気学における特殊相対論を実験的に証明した画期的な成果について、分かり易く説明してい る。具体的には、ZnTe結晶中を電子パルスが伝搬する時の電子パルス周囲の電場の振る舞いを、 電気光学効果を用いて測定している。フェムト秒レーザーパルスを空間1次元に配列した多重ス タックパルス列に変換し、これをプローブ光として時間・空間分解計測する手法を考案し、得られた 電場分布と理論計算との良い一致を示している。
     高エネルギー電子線のクーロン電場分布を高い時間分解能で測定し、電磁気学における特殊相 対論を裏付ける電場収縮を可視化した成果は、学術的に優れている。高強度レーザーと物質の相 互作用の研究者にとっては、電磁気学における特殊相対論の習得は必要不可欠である。研究成 果だけでなく、その理論的背景から体系的に解説されており、初学者の学生等にもわかりやすくま とめられている。解説としても優れており論文賞に相応しい。
R-111繰り返し動作キロジュール級パ ルスレーザーによる核融合研究 への貢献と応用展開への期待関根 尊史,
加藤 義則,
玉置 善紀,
川嶋 利 幸
(浜松ホトニクス株式会社)
51-09-573
(27)
企業の研究体でありながら長期的な視野に立った研究開発を進めており、かつ世界の国立研究所 に伍する成果を上げている。論文は関連研究開発動向を世界的な視野に立って網羅するととも に、期待される応用研究の可能性にも幅広く言及しており、解説論文としてすぐれている。
R-122光速データ処理に向けた光電 融合集積技術新家 昭彦
(NTT 物性科学基礎研究所)
51-10-614
(20)
光電融合技術に求められる性能を具体的な数字で推測しつつ、その要求を実現する上で求めら れる現実的な集積光回路の構成を論じている。集積フォトニクスの今後を指し示す重要な寄稿であ り、解説論文賞の候補として誠にふさわしい。
     光と電気を融合した情報処理技術の進歩を図ることの重要性について、近年の半導体技術の進 歩の動向も踏まえつつわかりやすい説明がなされている。近年注目されているNTTのIOWNなどの 最新動向を理解するための前提となる重要な事項がコンパクトにまとめられており、優れた解説論 文であると思われる。
R-131光コムって,何?(2005 年ノー ベル物理学賞)安井 武史
(徳島大学)
51-11-684
(20)
近年、多くの分野で使われ始めているにも関わらず、直接関係のある研究に携わっていなければ 詳しくない方も少なくないトピックだと思うため。
R-141半導体ヘテロ構造の開発 -半 導体レーザーの室温連続発振 への道程-(2000 年ノーベル 物理学賞)荒川 泰彦
(東京大学ナノ量子情報エレクトロ ニクス研究機構)
51-11-701
(50)
半導体レーザーの基礎技術となった半導体ヘテロ構造の開発の歴史について、分かりやすく紹介 している。ノーベル賞の受賞につながった経緯などについて詳細に紹介している。
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