第48回レーザー学会業績賞(進歩賞)・奨励賞推薦候補論文リスト

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第48回レーザー学会業績賞(進歩賞)推薦候補論文リスト

Noタイトル著者発表先推薦理由
1繰り返し20kHz,1.2 J,ナノ秒レーザーを用いたトムソン散乱法による過渡的プラズマ電子・温度分布計測*安原 亮1、
舟場 久芳1、
上原 日和1、
Den Hartog Daniel2
(1. 核融合科学研究所、
2. ウィスコンシン大学)
レーザー学会第575回研究会「高機能固体レーザーとその応用 RTM-23-11」ジュール級パルスを20kHzの高繰り返しでバースト出力するNd:YAGレーザーを開発し,トムソン散乱によるプラズマ電子温度・密度計測に成功した.600倍以上の時間分解能向上が実現し,核融合プラズマ研究に革新をもたらした.本成果はPhysical Review Letters,Scientific Report等に掲載された.
2アト秒科学のためのマルチTWシングルサイクルレーザー光源高橋 栄治1,2
(1. 理化学研究所 光量子工学研究センター、
2. 理化学研究所 開拓研究本部)
第44回年次大会C部門,
「C03-18a-VII-01」【招待講演】
究極の光パルスとされるシングルサイクル光をテラワット級のピークパワーまで高出力化できる新しいレーザー増幅法を提案,実証した.本研究成果がアト秒レーザー開発や高強度光科学研究に更なる進展をもたらすことは間違いなく,国際的にも極めて高く評価されている.Nature Photonicsに掲載.
3ループ型光量子コンピュータとその応用*武田 俊太郎1
(1. 東京大学大学院工学系研究科物理工学専攻)
第44回年次大会
[S01-19a-VIII-01] 【招待講演】
大型光コンピューティングのカテゴリに入る量子コンピュータに関する講演である.発表者が開発を行なっている「ループ型光量子コンピュータ」の利点を光量子コンピュータの基本原理や研究動向を紹介することで分かりやすく説明している.実用化は先というイメージの中,登場した商用マシンをさらに上回る独自の方式を開発している.
4精神神経疾患医療への応用に向けた眼底ハイパースペクトルイメージング中村大輔A,
上田瑛美B,
渡邉 充C,
松瀨 大C,
礒部紀子C,
園田康平B
(A九州大学大学院システム情報科学研究院、
B九州大学大学院医学研究院眼科学分野、
C九州大学大学院医学研究院神経内科学分野)
レーザー学会第578回研究会 RTM-23-25ハイパースペクトルイメージングカメラにより多波長の分光眼底画像を取得することにより,各種病変の検出,識別を可能とする装置の開発を行った.特に精神疾患患者の非侵襲で簡便な検査法としての社会実装が期待される.医工連携体制での画像解析を含めた開発研究がなされており,今後が期待される.
5時間多重化マルチライン時空間集光法を用いた多細胞同時多光子光刺激*稲澤 健太1,2,3、
磯部 圭佑1,2、
道川 貴章1,4、
並木 香奈4、
宮脇 敦史1,4、
緑川 克美1
(1. 理研光量子、
2. 京大生命、
3. 浜松ホトニクス株式会社、
4. 理研脳神経科学)
第44回年次大会
I10-19p-II-03
複数の細胞を同時に光刺激することを目的として,時空間集光法(TF)と,計算機合成ホログラム(CGH)を組み合わせたシステムに,さらに時間多重化マルチライン集光技術(TM-ML)を組み合わせた方法・装置を開発した.マルチスポット間における干渉の抑制効果と,深さ方向の改善を実現した.
6レーザー粉末床溶融結合法における結晶成長のデジタルツイン解析*奥川 将行1、
小泉 雄一郎1、
中野 貴由1
(1. 阪大工)
第44回レーザー学会学術講演会
[D09-19p-X-01] 【招待講演】
レーザーによる三次元積層技術において温度勾配と冷却速度に着目して形成される結晶構造を評価し,高速昇温下において柱状・等軸遷移クライテリアとは逆となることを明らかにした.得られた成果を元に機能性材料の開発につながるものと期待できる.
7軸方向パルス放電によるHeフリー短パルスCO2レーザーの開発宇野和行A,
大川 亮A,
渡會翔平B,
児玉康司A,B
(A山梨大学,
B精電舎電子工業)
第582回研究会
RTM-23-46
これまで高繰り返し周波数動作は実現していなかったHeフリーCO2レーザーについて,軸方向放電と高速パルス放電を組み合わせたHeフリー短パルスCO2レーザーの開発を行い,長さ80 cm,内径8 mmの放電管を用いて,高繰り返し周波数(300, 500 Hz)動作を実現している.これはHeフリーCO2レーザーに関する画期的な成果である.
8戻り光を持つ利得変調多モード半導体レーザーを光源とするTHz時間領域分光法*和田 健司1、
松山 哲也1、
岡本 晃一1、
桒島 史欣2
(1. 大阪公立大学、
2. 福井工業大学)
第44回年次大会
[S03-18a-VIII-03] 【招待講演】
THz-TDSの小型安価な光源である外部戻り光半導体レーザーカオスについて多モード方程式解析を行ない,注入電流変調により積極的にピコ秒パルス間欠性カオス発振状態を実現することで,広帯域化と高効率化が図れることを明らかにした.この成果は,THz-TDS研究のみならずカオス研究の観点からも極めて有意義なものである.
9高効率・低 M2を有する10 kW超ファイバレーザ*益子 泰裕1、
北原 倫太郎1、
清山 航1、
白倉 勇紀1、
小林 拓矢1、
田久保 勇也1、
山本 達也1、
藤田 智之1、
中山 通雄1、
寺田 佳弘1
(1. 株式会社フジクラ)
レーザー学会学術講演会第44回年次大会
[B06-18p-IX-04]
レーザー加工において非常に重要となるビーム品質の良い高出力ファイバレーザーの実現を目的として,大口径ファイバでありながら希土類の分布を制御することでシングルモード伝搬をする新しいファイバを開発し,それを用いて出力10.7kW,M2が2.3の高出力・高ビーム品質ファイバレーザーの開発に成功した.
10分散型量子計算に向けたナノファイバー共振器量子電気力学*青木 隆朗1,2
(1. 早大理工、
2. NanoQT)
レーザー学会学術講演会第44回年次大会
[S01-19a-VIII-02] 【招待講演】
実用的な量子コンピュータに必要となるスケーラビリティを実現する手法として,各ユニットを光で結ぶファイバーネットワークはその候補の一つである.その重要な技術である超低損失ナノファイバーの作製方法の確立に成功し,これは大規模分散型量子計算への可能性を拓く重要な進歩であり,今後の研究の進展が期待される.
11宇宙太陽光発電に向けた太陽光励起レーザー用単結晶の作製・特性評価鈴木優紀子A,
鳥海陽平A,
落合夏葉A,
田中 徹A,
長谷川和男B,
元廣友美BC
(A NTT宇宙環境エネルギー研究所,
B光産業創成大学院大学,
C名古屋大学)
レーザー学会第575回研究会 RTM-23-06宇宙太陽光発電の手法としてこれまでは,宇宙空間にて太陽光発電したエネルギーをレーザ光やマイクロ波で送ることが考えられていたが,本研究では太陽光でレーザーを直接励起する手法が提案さている.出力はまだ小さいながらも,共添加YAG単結晶の太陽光励起発振の初報告であり高く評価される.

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第48回レーザー学会奨励賞推薦候補論文リスト

Noタイトル著者発表先推薦理由
1シングルモードダブルクラッド構造Dy3+ドープ耐候性フッ化ファイバを用いた黄色(575 nm)レーザーの高効率化*黄金井 彩花1
(24歳)

桂川 寛也1、
小林 将太1、
石井 修2、
山嵜 正明2、
藤本 靖1
(1. 千葉工業大学、
2. 株式会社住田光学ガラス)
第44回年次大会
[B05-18p-IX-04]
半導体レーザでは実現の難しい黄色レーザー開発に関し,Dyドープ耐候性フッ化物ガラスファイバを用いた新手法により世界最高出力(445mW)のシングルモード黄色ファイバレーザーを実現した.設計では高効率のLD励起光学系を提案し50%を越えるスロープ効率を達成した.更なる出力向上の提案もあり,今後医療,計測への応用が期待される.
2ポスト次世代の高輝度半導体レーザー:フォトニック結晶レーザー*井上 卓也1
(34歳)

森田 遼平1、
吉田 昌宏1、
De Zoysa Menaka1、
石崎 賢司1、
野田 進1
(1. 京都大学)
第44回年次大会
[S05-17p-IX-06]【招待講演】
自己変化可能なフォトニック結晶を世界に先駆けて考案,実証しており,大面積・高輝度動作,短パルス・高ピーク出力動作を実現している.また,ポスト次世代のレーザー光源として期待される将来展望についても解説している.
3中赤外光熱変換計測を用いたラベルフリー生体化学分析*加藤 遼1,2,3
(31歳)

矢野 隆章1,2、
田中 拓男2,1
(1. 徳島大学ポストLEDフォトニクス研究所、
2. 理化学研究所、
3. JST ACT-X)
第44回年次大会
I03-17p-II-03【招待講演】
生体機能に関連する生体内の化学組成や分子状態の分析が可能な赤外吸収分光などの振動分光学的手法において,空間分解能と水吸収が課題であったが,その解決策として,分子の赤外吸収に伴う体積膨張を可視光の光学応答により,間接的に赤外吸収を測定する中赤外光熱変換計測法を提案し,原理実証から応用展開を図った優れた成果である.
4高発光性を示す柔軟性有機単結晶における蛍光導波及び光共振松尾 匠A
(32歳)

林正太郎A,B
(A高知工科大学 理工学群、
B高知工科大学分子デザイン研究センター)
レーザー学会第579回研究会「有機コヒーレントフォトニクス」
RTM-23-31
柔軟性と高い蛍光性を同時に有する有機単結晶材料を新たに見出し,さらにそれらが自己蛍光導波路並びに光共振器として優れることを実証した.これは,従来硬くて割れやすいという結晶の概念にとらわれないまさに“柔軟な“アプローチで,有機レーザー・発光素子の分野において新たな展開を予感させる独創性および将来性に富んだものである.
5シングルショット共鳴分光を実現するレーザー駆動中性子源*藍 沢塵1
(29歳)

有川 安信1、
Morace Alessio1、
早川 岳人2、
加美山 隆3、
佐藤 博隆3、
Wei Tianyun1、
巽 湧太1、
Mirfayzi Reza4、
小泉 光生5、
安部 勇輝6、
藤岡 慎介1、
三間 国興1、
児玉 了祐1、
余語 覚文1
(1. 大阪大学レーザー科学研究所、
2. 関西光量子科学研究所 、
3. 北海道大学、
4. Tokamak Energy Ltd,
UK、
5. 日本原子力研究開発機構、
6. 大阪大学工学研究科)
レーザー学会学術講演会第44回年次大会
[C07-19p-VII-01] 【招待講演】
従来の加速器中性子源では数10メートル級のビームラインで数時間を要する共鳴分光を,レーザー駆動中性子源によって,2メートルのビームラインで瞬間計測することを可能とし,共鳴ピーク構造が計測対象の温度に依存することを実証した.元素種を選別しながら計測対象の温度を瞬間・透過計測できる新しい手法に繋がるものである.
6電極面の1064/355 nmナノ秒レーザー加工による電解性能向上*曽田 圭亮1
(24歳)

安東 航太1、
内本 喜晴1、
中嶋 隆1
(1. 京都大)
第44回レーザー学会学術講演会 D06-18p-X-03ニッケル電極面におけるパルスレーザ加工の波長依存性を評価し,マイクロ構造生成のメカニズムを明らかにした.得られた成果は,余剰電力を電気分解により電力貯蔵する応用を想定されており今後の進展が期待される.
7高繰り返しファイバレーザーコムを用いた1.4um帯H2O吸収によるスペクトルピークの生成北島将太朗A
(32歳)

坂口颯太A、
Jung Kwangyumn A、
向井ももA、
富田英生A、
橋口幸治B、
阿部恒B、
西澤典彦AB
(A名古屋大学工学研究科、
B産業技術総合研究所計量標準総合センター)
レーザー学会第581回研究会「次世代ファイバーレーザー技術」
RTM-23-42
光周波数コムを高感度分光に応用するための特定のコムモードのみを抽出し増強することを目的として,全偏波保持型の高繰り返し安定化コムを開発し,水蒸気マルチパスセルと高非線形ファイバを内包したファイバループミラーにより,1.4um帯の水蒸気の吸収スペクトルに対応するスペクトルピークの生成と抽出に成功した.
8銀薄膜上のポリマー/量子ドット混合薄膜の発光増強特性―距離依存性および時間分解特性田之上 達哉 
(24歳)

丹羽 智彦,
松山 哲也,
和田 健司,
岡本 晃一
(大阪公立大学)
一般社団法人レーザー学会第582回研究会
RTM-23-47
多岐に応用されている量子ドット(QD)発光体の発光増強について,QDを分散させたPMMA膜とAgによるSP膜間のスペーサーを変化させることで発光強度が最大になることを明らかにした.QD膜とSP膜の間の非輻射によるエネルギー移動を制御することが増強につながっていると提案しており,物理現象としても興味深い.

※_は非会員

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